ロバート・シルヴァーバーグ「地上から消えた動物たち」ハヤカワ文庫

2005年12月7日水曜日

自然

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 地上から消えていった動物たち、ドードー、ステラーカイギュウ、リョコウバトなどの絶滅の記録を綴った「絶滅本」の古典といってよい作品。筆者は「夜の翼」などでおなじみの、あのシルヴァーバーグ。


太古からの生物の進化・絶滅の歴史をみれば、種の絶滅は珍しいことではないのだが、この本でとりあげられているのは、「人間の手」による絶滅である。「人間の手」による絶滅の何が問題なのかということについて、筆者は、それが、自然ではなく人間の意図や無知によって大量に、効率よく絶滅させられるからにあると言う。


航海中の貯蔵肉にも使われたが、主には植民者の連れてきた犬や勝手についてきたネズミに雛や卵を食われて絶滅したドードー


貴族たちの狩猟の獲物や農民の手軽な肉源として狩られつくされたヨーロッパのオーロックスとアメリカインディアンの貴重な食料源であったため、インディアンを滅ぼす対策として狩られたアメリカバイソン


動作が鈍いために手軽に手に入る毛皮として狩られつくされたステラーカイギュウ


ホッテントットの食料用の肉と農民の丈夫な穀物袋のために絶滅したクアッガ


有史以前の人類によって絶滅したらしい(?)モアやオオナマケモノ


そして一時は北アメリカ大陸を埋め尽くすほどいたためハンティングの格好の対象となり、気が付くと、一羽もいなくなっていたアメリカリョコウバト


あやうく絶滅の危機から逃れた動物がいないわけではない、クイナの一種のノトルニス、氷河期の野生馬の末裔のブルフェワルスキーウマ、亜熱帯に住むガンのハワイガン などなど


しかし、こうした絶滅から免れた動物たちもいつ再び絶滅の淵につきおとされてしまうかわからない不安定なものであることには間違いない。


筆者は、「われわれが「多種多様の香味深くかつ珍しい動物たちにとってあんまりよい管理人でなかった」ことを自覚し、「後世の人々が20世紀を語る時、その(絶滅の)リストがさらに長いものにならぬようにわれわれが食い止めたのだといってもらえるようにしたい」でしめている点には物足りなさを覚えるが、1980年代半ばに刊行されたもので、あればやむをえないか。

その後の自然保護運動の高まり(行き過ぎも含めて)の大きな流れを作り出すもとともなった一冊といってよい。


犯人探しをするわけではないが、私たち人間がこの世界から消してしまった動物たちの多さ、多様さにあらためて気が付いて、ちょっと気がめいるのは確か


「誰がコックロビンを殺したの」・・・「それは私」と人間が言った。


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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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