鴨志田 穣・西原理恵子 「煮え煮え アジアパー伝」(講談社文庫)

2006年1月7日土曜日

トラベル

t f B! P L

 アジアパー伝の三作目。他のシリーズ本と同じく、西原理恵子さんの漫画と鴨志田 譲さんの旅というかアジア滞在記エッセイのダブル搭載。漫画とエッセイとは別物だから、一冊で二度美味しいということか。


鴨志田さんのエッセイのほうは、まず韓国から始まる。韓国を出て東京へ留学、就職、その後再び韓国に帰って不遇を抱えているカクさんと取材旅行をしているところから始まる。とはいっても取材の様子はほとんどなく、飲む。飲む。飲むの記録である。


こんな調子で、神戸の震災の際のルポ、ミャンマーでの出家、タイでの暮らしやまわりの人々を綴っていく。だから、本音のところ、真面目なミャンマーやタイの滞在記と思ってはいけない。自らの生活と体を、わざと壊していく印象を受ける。



しかも、登場する人も、変わったというか、まっとうな人はほとんどでてこない。最初の韓国人のカクさんは祖国に不満をもちながらやっぱり熱い韓国青年であるし、タイのミヤタのおっさんは娑婆に色気をまだ持っている、どうしようもない飲んだくれだし、タイのバーの知り合いのソイは、博打にはまったタイ人でカナダへ移住するらしいが、その地で客死するか、尾羽打ち枯らしてタイへ帰ってきそうな女性だ。


本の中の一節を引用するのを許してもらえば


自分を含めて


「人を騙して生きていけるような人でもない。

 嘘がはっきりと見えてしまうんだから騙しようもない

 気が小さいのだけれども、何かになりたい、何者かになってやりたい。

 その気持ちだけで生きている人」


ような人たちのお話である。旅の楽しみや、アジアの国の生活の楽しみを期待して読んではいけないが、アジアにまつわる、ちょっと切ない思いをしたかったら一読してみてほしい。



西原さんのエッセイは、鴨志田さんをネタにしながら、日々の、あまり通常とはいえない暮らしの漫画。カメラマンと漫画家を夫婦にすると、こんな家族生活になるのかー!!とひとごとと思って読んだ。


文章と漫画がまったくマッチしていないところが妙に、goodです。


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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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