「言葉」化が難しい焼き肉の魅力を、あえて「文章」にすると ー 今 柊二「がんがん焼肉 もりもりホルモン」(ちくま文庫)

2015年6月27日土曜日

今柊ニ

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最近、狩猟系の調べ物をしていて、そのせいでもないのだが、食べ物系の読み物は「肉」が多くなっていて、今回は、今 柊二「がんがん焼肉 もりもりホルモン」を取り上げる。

 

構成は


「元気」大爆発だ! まえがき

第一部 関東モツ肉道

第二部 全国モツ肉の旅はるか

第三部 時間はなくてもしっかり食べたい

 お持ち帰り焼き鳥の悦楽

 愛とエネルギーがあふれる肉丼


と、タイトルどおり「焼き肉」中心の構成である。

 

たしかに「肉」系の料理というとトンカツ、すきやき、しゃぶしゃぶ、シチューと数々あれど、どういうわけか無条件に心を躍らせるのは「焼き肉」に敵うものはなかなかいない。ところが、こうした食べ物の本のレビューをする時には、結構な難物である。肉は海鮮や丼、揚げ物と違って、なんとも抜き書きが難しい。

 

例えば、

(愛知・名古屋伏見「鳥正」の『どてめし』)

ごはんの上に刻みネギがのり、その上に牛スジ、こんにゃくなどがのり、中央部分に目玉焼きが鎮座ましましているのだった。このタナゴに箸でふれうと「にょほ〜」と気味がとろけでる。いい具合の半熟。これが汁と混ざり合って具とご飯にからまっていく。


や、


(神奈川・新杉田「バーグ」の『スタミナカレー』)

さて、でてきたカレー。カレーの上に豚のショウガ焼きがどっさりのって真ん中に生卵が鎮座している。まさに「米・肉・油・卵」。

ルーは粘度が高く、わりと辛い。米がちょっと硬い。エネルギッシュな豚肉と辛いカレールーのせいで、確かにこれは相当に激しい味だ。生卵がルーと肉にからんでいるので、ややまいるどな味になっているが、総合的には学情度が揚がって沸騰寸前という感じだ。

 

といったように、焼き肉の周縁部のものでは、ダイレクトにワクワク感が伝わるのに、焼き肉そのものでは、どうしてもジュワッ、とか、コリコリ、とかなんともありきたりの表現になってしまって、焼き肉の心躍らせる感がでてこないのである。

 

例えば

 

(東京・亀戸「亀戸ホルモン」)

続けて焼きものを。マルチョウ(小腸)、ハチノス(第2胃)、トロミノ(第1胃)をかく1人前ずつ注文。肉を焼きはじめると、ボウボウと炎の勢いが増した。・・

さて食べてみる。トロミノは、これまでに食べたことのない軟らかさ。


 

(東京・新宿「つるかめ食堂」レバから揚げの定食セット)

続けてお、おかずが登場。キャベツを敷いた上に揚げたてのレバがのっている。わりと多い。皿の隅には黄色いカラシが、おもしろいほどたっぷりと添えられている。・・・

まずはソースとカラシを溶かして、レバから揚げをつけて食べる。レバはサクサクと揚がっている。カラシソースでジャンキーな感じがまして元気がでそうだな。 


(東京・町田「いくどん」ホルモンの焼き肉)

ホルモンは薄いタイプと厚いタイプと2つ入っているようで、まずは薄いタイプが焼けてくる。

最初は味噌ダレをつけて、ご飯にのっける。

それでは1口。・・・こ、これは!

炭火のせいか火がよく通っていて、カリカリと香ばしい味わいだよ。

(中略)

続けて厚いほうの肉が焼けてくる。こういう厚いホルモンって、内側に脂がのっていて、それが炭火で溶け出して、ご飯とよく合う。トリガラスープもシンプルでしみじみおいしい。これもすいすい飲み干してしまった。

 

といった感じで抜き書きはしてみるのだが、なんとも隔靴掻痒の感が強い。おそらくは、「焼き肉」「ホルモン」というものが、そのものの味だけではなく、脂や煙でけぶった店の壁とか、ジュージューと肉の焼ける匂いと火に脂がおちてボッと上がる炎とか、全体の雰囲気をを味わうものであるからであろう。

つまりは「焼き肉本」の良さを伝えるには、店の佇まいから客のザワザワ感、皿に載った肉の具合などなど、どうかすると本の隅々まで紹介しないと良さが伝わわらないかも、ということで、これはレビュアーなかせというもの。

 

ということで、今回は、あっさりと筆者の「まえがき」から

 

そうだ。焼肉屋は「元気の源」だったのだ。

酒を飲みつつ食べている大人たちも、私達のように家族連れできているひとたちも、この店で肉やホルモンを食べて「元気」をつけていたのだ。

 

という焼き肉への愛を伝えて、この稿は了とさせていただこう。百聞は一見に如かず。肉は実際に焼いてみるのが一番なのである。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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