ゲッツ板谷「タイ怪人紀行」「ベトナム怪人紀行」「インド怪人紀行」(角川文庫)

2005年11月3日木曜日

トラベル

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ゲッツ板谷「タイ怪人紀行」(角川文庫)

ゲッツ板谷(金髪デブ)と鴨志田 譲(兵隊ヤクザ)、はせぴょん(やたらいいかげんらしい場へ編集者)の繰り広げる、乱暴な紀行記第1弾。舞台はタイ。

1枚目の写真の女の子は無邪気で可愛いが、あとは不思議なおっさんたちの写真多。

鴨志田さんは、たしかに漫画家の西原理恵子さんの旦那さんだったことがある人だけど、この本で読む限り、ぶち切れしやすい、危険な人らしい。それにも負けず、ゲッツさんも危険なにおうがするのは私の気のせいではないだろうし、その二人が東南アジア、「タイ」となる危険とトラブルは倍加していくのは間違いない。

それにしても、こうした危険な人たちには、どうして同じような危険な人や出来事が寄ってくるのだろう。日本で金持ちのボンボンとおもわれているトゥクトゥクのドライバー、

やたら吐きまくる麻薬治療の寺院。タイで最強であったバレーボールチームのオカマのキャプテン。うそくさい(本当らしいものもないのかもそれないが)心霊治療のおばさん、

ミイラや切断された腕などが陳列されていてタイ人に人気の外科博物館。

極めつけは、ゲッツさんのレモンちゃん(ちなみにオカマ)への悲恋物語かな。


タイ料理や下川裕治さん風のとろとろとしたタイ紀行を期待すると裏切られるが、タイの奇人や得体のしれない物事を、はたから見物しようという気持ちで読むとよい。

ゲッツ板谷 「ベトナム怪人紀行」(角川文庫)

日本の怪人、ゲッツとカモちゃんが、今回はベトナムに挑む。今回の旅の不幸な道連れは

ベトナムで日本のテレビ番組のコーディネートをしている鈴木君。

「タイ紀行」と違い、最初は、耳掃除の心地よさやらフォーやラウ・マム(寄せ鍋)をはじめとするベトナム料理のうまさから始まる。なんか雰囲気違うと思うことしきり。「タイ紀行」ではケンカしてる場面が多かったのだがなー。最後は、絶滅が危惧される手乗り鹿を食する話・・・(やっぱり、ここに落ち着くか)。

料理の話が出てくるのは最後まで一貫している。あちこちでの特色ある料理(中には「犬料理」も含まれるのだが)が紹介され、美味そうに描かれている。


お決まりのオカマの人も登場する。タイといいベトナムといい東南アジアでは、大概の本でオカマが登場するのは何故だろう。今回はやけに純粋で可憐なオカマ少年が登場。
この本のオカマ少年もどことなく寂しげである。

と、しんみりしていたかと思うと、突然、○欲まっさかりみたいなことになるのが、この本のよいところ。ベトナム中部で、一人旅をしている独身日本女性に会った途端、変貌していまうわけだ。まあ、最後は、何もなく別れてしまうのが定番なのだが、妙に、このあたりは文体がはずんでいるのがおかしい。

後は、カブトムシ捕獲で一攫千金を狙う話や「犬料理」の話など。「犬」のハムのは、味は悪くないのだが、「犬」の姿を思い浮かべた途端吐き気がこみ上げたというくだりには、愛玩物としてしか認識できない私たちの限界を思う。

今回は、やはりベトナムということで、ベトナム戦争の負の遺産からは自由になれない。随所にベトナム戦争の枯葉剤の影響がでている子供たちや、負けた側の南ベトナムの兵士の話がでてくる。
さらには、太平洋戦争の時に置き去りにされた日本人だと主張するベトナム人。ところが、途中で、カンボジアのポリ・ポト軍を攻めたフン・セン軍に参加した兵士の話から様相が異なってくる。被侵略者であったベトナムが、解放者という名の侵略者へ変わった話など。随所に、元兵士へのインタビューもあり、要所要所を引き締めている。

全体として、「タイ怪人紀行」に比べ、少し重い。それはベトナム戦争こともあるのだろうが、タイとベトナムの違いも影響しているのかもしれない。

ゲッツ板谷「インド怪人紀行」(角川文庫) 

ゲッツとカモちゃんの二人が、今度は貧乏旅行のメッカ インドへ旅する。

タイ、ベトナムと定石を踏んできた旅行記も、クライマックスへ。

ところが、なかなか出発しない。今度の同行者のハックやナベちゃんという若者の話や、バンコクの居酒屋でひっくり返ったり、風邪ひいて熱出したりする話が続く。どうも、今回の旅は、同行の二人の若者がいわくありげで、はずみをつけている気配が濃厚だ。


やっとニューデリーから始まるが、ゲッツの体力はかなり限界らしくゲリピー状態。おまけに同行メンバーの中はすこぶる悪い、果たしてどうなるのかーと始まる。感情を押し殺したようなハックと、ドロップアウト癖のあるくせに理屈をつけるナベちゃん。これに瞬間沸騰カメラマンのカモちゃんがからむから、ますます複雑になる。

これはニューデリーを出発し、ムンバイについても変わらない。それどころか、インドの都市特有の猥雑さが輪をかけているようだ。

この旅行記は1994年のインドの経済改革以後のものだから、それ以前のようなとことん中世的なインドからは脱却しつつあると思うのだが、大衆は変わらないということか、

やたら、しつこい物売りやいい加減なホテルは、昔の旅行記と同じだ。

ムンバイの後は、ゴア。ゴアは、この本の当時はドラッグ好きの溜まり場になっていたようだ。(今がどうだかは知らないヨ。アームチェアトラベラーは現地にはいかないのだ)

ガンジス川のほとり、聖地といわれるバラナシでは、安い売春宿で金を巻き上げられそうになるは、トリップしたハックは庭で毒液を吐き散らすはの騒ぎである。おまけに火葬場で写真を撮って、遺族から袋叩きに会いそうになる。どこに行っても騒ぎが起こるのは変わらない。

旅も終わりに近くなる。国境の飛び地インパールである。ここで、子供の死でアヘン中毒のアルコール中毒になったカンプゥというガイドに出会う。説教するゲッツ。それを契機に兄の死以来、感情を押し殺していたハックの復活、そしてカモちゃんとナベちゃんの激突。

インド旅行記は、ここインパールで終わる。おまけにタイ、ベトナムと続いてきた怪人紀行もひとまずエンドらしい。

このインド怪人紀行では、現地の怪人の登場は少ない。なにせ、旅行者自体が怪人ぞろいだからだろう。合間の西原理恵子のマンガは、あいかわらず楽しいので、必見。

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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